春色の紅花染め米沢紬。コンサートとシンポジウム。

DSCF7976DSCF7986

土日がお出かけで埋まってしまいました。
土曜日は、お友達の尾見林太郎さんのピアノコンサート。
先生を同じくする門下生の皆さんによるコンサートで、一人1,2曲ですが、皆さんチカラ入ってまして。
普通のリサイタルのメインディッシュに当たるような曲ばかりを8人分聴かせていただいたというわけです。
尾見さんのシャコンヌ、とても良かったです。

150418-s

コンサートなので、グランドピアノを弾いている猫の音楽会の帯。好評でしたー^^
春なのでピンクをプラス。

DSCF7996DSCF8002

日曜日は同じ着物で帯違い。
藤の帯にしたいところでしたが、持っていないので少し気の早い牡丹です。

春日大社のご造替シンポジウム。3回目です。
伊勢の遷宮と同じで、一度神様に別の仮殿に移っていただいて、お社を綺麗にリニューアルした後(伊勢神宮の場合はお社も別の敷地に建て替え)にまた戻っていただくのだそうで、既に3月に仮殿へのお引越しが済んでいます。
そのお引越しの裏話といいますか、体験談といいますか、つい先月のことですので、ごく生々しいお話が聴けました。
何しろ実際に本殿に入られて、ご神体を運ばれた大宮司ご本人のお話なので、貴重です。

それから今回は「平安の正倉院」と題されていましたので、春日大社の所有する、たくさんの文化財について。
東博の修復の方と、全国の寺社の修復をされている会社の代表の方、日本画の森田りえ子さんがパネリストで、現場の声が聴けました。
修復をされている会社の代表の方がとっても日本語堪能なイギリス人なのですが、修復の現場の声と経営者としての目があって面白いお話でした。
鎧の細かい彫金細工について、「今の技術では出来ない細工」と宮司さんからあったのですが、それは全く不可能ということではなくて、今の生産現場では同じものを作るのに、いつまでに、幾らで、というような仕事としての対応が出来ないということ。
職人を育成して、相当のお金をかけ、何度も試行錯誤をしていけばきっと出来るけども、それだけの予算と時間が現実的に取れないという話でした。

なるほどなと思います。
今、いろんな伝統分野の技術で、「今では出来ない」というフレーズは良く聞くのですが、確かに本当にやる気があれば、そして予算があれば出来ないわけではないなと私も感じます。
それが仕事にならないから受け継ぐ人が居ないだけで。
クフ王のピラミッドとか、ナスカの地上絵がどうやって出来たのか分からないと言うのとは話が違って、現代と地続きの技術によって出来ているので。
鎧の彫金は確かに見事なものでしたが、日本人の気質であれば、職人を育てる環境さえあればおそらく今でも出来るようになると思います。
おそらく思ったよりずっと早く出来ると思うのです。そしてそれはかなり楽しい仕事だと思います。
そんな手仕事の好きな日本人はたくさんいるんですが・・残念なことです。

またご本殿の朱塗りについて。
100パーセント水銀の本朱を使うというのは日本全国でも他に例が無いだろうとのこと。
確かに門などに使われているのは本朱では無いなと思っていましたが、ご本殿はやはり本朱なんですね。
朱は伸びの良い絵の具ではありますが、あの面積に、透けない厚みでしっかり塗られているところを見ると、かなりな消費量と思います。
しかも4柱分です。
水銀はそれほど神聖なものを象徴しているのでしょう。
その他の部分はおそらく弁柄や鉛丹を使ったのかと思います。

さて、土曜と日曜で、衣紋の抜き方が違います。
土曜日に多めに抜いて肩が凝ったので日曜は控えめにしてみました。
ホールの空調は上から来るのでちょっと肩が冷えるというのもあります。

DSCF7986DSCF8002

どちらもローズ系のピンクがアクセントです。
この色は4,5月の色ですねえ。春先だともっと薄いさくら色。秋冬にはボルドーに近い色がしっくり来ます。冬場でもごくモダンなコーディネートには使えそうですが。
洋服でもそうですが、柄が無くても色で季節がかなり分かれるなと思います。
昨年春に着られる色の袷が無くて困ったので、今年はこの米沢紬を春にめいっぱい着るつもりです。

春先がぴったりな藤色の色無地があったのですが、4月になると既にもう遅すぎる気がして、結局今年は着られず。
最近は4月でも日差しが強くて春といっても初夏のような陽気だったりするので、水色や白系の爽やか色の袷が使える気がします。