METライブビューイング。ワルキューレ。

ワルキューレ

しばらくブログから遠ざかってました^^
急に涼しくなった・・と思ったけど、良く考えてみたらこれくらいが普通の5月なんでした。

ライブビューイングですが、観たかったMETのワルキューレ。行って来ました。
初ワーグナー・・かと思ったら、そういえば前にタンホイザーを聴きました。
N響だったかな。ゲスト歌手を呼んだ演奏会形式でしたが。

ワーグナーだとこう、とことんお金をかけた舞台で、豪華に観たい、というのは常にありますが、なかなか日本の劇場で出来ることではないので、ライブビューイングとはいえMETの演出なら見ようと昨年から楽しみにしておりました。

なんといっても写真のマシンが凄い。
(写真は公式から失礼してお借りしました。リンクしておきます。)
動くんですよねー。解説によるとアイスランドの地殻変動にインスピレーションを受けたそうで。
確かにシンプルながらダイナミックに変動する装置で天地創造と神々の世界観を表現していました。
シンプルなんだけど、最新技術でもあり、プロジェクションマッピングも違和感無く、
映像を使った舞台ってどうも二次元と三次元の間に違和感があって苦手なんですが、
これはマシンの圧倒的な現実感と重力で映像が気にならないレベルに融合してました。
映像も立体の動きに合わせて変化するのです。
途中、羽ばたく鳥のようだったり、滝のようだったり、氷山になったり、変幻自在です。

そして歌い手のレベルが凄い。
男女ともにスターが3人。
きらきらしく、若々しいキャピキャピしたグリュンヒルデに、情熱的でしっとりしたジークリンデに、高圧的だけど気品あるフリッカ。
男声もまっすぐ純粋な英雄ジークムントに、悪役っぽさがいい味のフンディングに、多彩で複雑な演技力のヴォータンと、全てのレベルがバランスよく揃わないと出来ない舞台でした。
なんせ神様の声だから圧倒的に強くて輝かしくて、恐ろしくなくてはいけなくて、しかも妙に人間くさくていろいろやらかしてる神様なものだから、人間以上に激しい感情が交錯していて、厄介です。

個人的にはそんな人間味満載ヴォータン役のグリア・グリムスリーの多芸な感じ、好きなんですが、今回の主役はやはりブリュンヒルデのC・ガーキーかなあ。
ソプラノがこんなにキラキラして瑞々しい時期はどのくらいなのか、まさに旬の歌声でした。
ワルキューレがこんなうら若い乙女達だったとは知らなかった。
さらに英雄がこんなすぐに死んじゃうとか、もう少し設定勉強してから行くんでした。

神族の父娘が三幕で和解して、壮大な親子喧嘩が終わり、観客はほっと胸をなでおろすわけですが、一方壮大ではた迷惑な夫婦喧嘩はまだまだ続いているようだし、いよいよジークフリートが登場する続きも気になります。

オケもそれだけでじっくり聴きたいくらいで、なんだかもったいないくらい。
舞台の迫力が凄いだけに、ライブビューイングなのがもどかしいです。

METワルキューレ
指揮:フィリップ・ジョルダン 演出:ロベール・ルパージュ
ブリュンヒルデ:クリスティーン・ガーキー(ソプラノ)
ジークリンデ:エヴァ=マリア・ヴェストブルック(ソプラノ)
フリッカ:ジェイミー・バートン(メゾソプラノ)
ジークムント:スチュアート・スケルトン(テノール)
ヴォータン:グリア・グリムスリー(バスバリトン)
フンディング:ギュンター・グロイスベック(バス)