臨書。

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先日臨書した空海さんの風信帖。
メモリーカードをとりあえずネットで購入したので、写真が撮れました。

こうしてみると文字はともかく全体のバランスが微妙でした。
元々ものすごく危ういバランスの上に成り立っていて、乱れているのに何となくぴりっと筋の通ったところがさすが弘法大師といいますか。
難しい題材でした。

最後のほうはもう何がなんだかです。

しかし落ち着いて絵を描く時間が無い昨今、せめて墨を刷るのは良いですね。
GWは絵を描きます~。

春色の紅花染め米沢紬。コンサートとシンポジウム。

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土日がお出かけで埋まってしまいました。
土曜日は、お友達の尾見林太郎さんのピアノコンサート。
先生を同じくする門下生の皆さんによるコンサートで、一人1,2曲ですが、皆さんチカラ入ってまして。
普通のリサイタルのメインディッシュに当たるような曲ばかりを8人分聴かせていただいたというわけです。
尾見さんのシャコンヌ、とても良かったです。

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コンサートなので、グランドピアノを弾いている猫の音楽会の帯。好評でしたー^^
春なのでピンクをプラス。

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日曜日は同じ着物で帯違い。
藤の帯にしたいところでしたが、持っていないので少し気の早い牡丹です。

春日大社のご造替シンポジウム。3回目です。
伊勢の遷宮と同じで、一度神様に別の仮殿に移っていただいて、お社を綺麗にリニューアルした後(伊勢神宮の場合はお社も別の敷地に建て替え)にまた戻っていただくのだそうで、既に3月に仮殿へのお引越しが済んでいます。
そのお引越しの裏話といいますか、体験談といいますか、つい先月のことですので、ごく生々しいお話が聴けました。
何しろ実際に本殿に入られて、ご神体を運ばれた大宮司ご本人のお話なので、貴重です。

それから今回は「平安の正倉院」と題されていましたので、春日大社の所有する、たくさんの文化財について。
東博の修復の方と、全国の寺社の修復をされている会社の代表の方、日本画の森田りえ子さんがパネリストで、現場の声が聴けました。
修復をされている会社の代表の方がとっても日本語堪能なイギリス人なのですが、修復の現場の声と経営者としての目があって面白いお話でした。
鎧の細かい彫金細工について、「今の技術では出来ない細工」と宮司さんからあったのですが、それは全く不可能ということではなくて、今の生産現場では同じものを作るのに、いつまでに、幾らで、というような仕事としての対応が出来ないということ。
職人を育成して、相当のお金をかけ、何度も試行錯誤をしていけばきっと出来るけども、それだけの予算と時間が現実的に取れないという話でした。

なるほどなと思います。
今、いろんな伝統分野の技術で、「今では出来ない」というフレーズは良く聞くのですが、確かに本当にやる気があれば、そして予算があれば出来ないわけではないなと私も感じます。
それが仕事にならないから受け継ぐ人が居ないだけで。
クフ王のピラミッドとか、ナスカの地上絵がどうやって出来たのか分からないと言うのとは話が違って、現代と地続きの技術によって出来ているので。
鎧の彫金は確かに見事なものでしたが、日本人の気質であれば、職人を育てる環境さえあればおそらく今でも出来るようになると思います。
おそらく思ったよりずっと早く出来ると思うのです。そしてそれはかなり楽しい仕事だと思います。
そんな手仕事の好きな日本人はたくさんいるんですが・・残念なことです。

またご本殿の朱塗りについて。
100パーセント水銀の本朱を使うというのは日本全国でも他に例が無いだろうとのこと。
確かに門などに使われているのは本朱では無いなと思っていましたが、ご本殿はやはり本朱なんですね。
朱は伸びの良い絵の具ではありますが、あの面積に、透けない厚みでしっかり塗られているところを見ると、かなりな消費量と思います。
しかも4柱分です。
水銀はそれほど神聖なものを象徴しているのでしょう。
その他の部分はおそらく弁柄や鉛丹を使ったのかと思います。

さて、土曜と日曜で、衣紋の抜き方が違います。
土曜日に多めに抜いて肩が凝ったので日曜は控えめにしてみました。
ホールの空調は上から来るのでちょっと肩が冷えるというのもあります。

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どちらもローズ系のピンクがアクセントです。
この色は4,5月の色ですねえ。春先だともっと薄いさくら色。秋冬にはボルドーに近い色がしっくり来ます。冬場でもごくモダンなコーディネートには使えそうですが。
洋服でもそうですが、柄が無くても色で季節がかなり分かれるなと思います。
昨年春に着られる色の袷が無くて困ったので、今年はこの米沢紬を春にめいっぱい着るつもりです。

春先がぴったりな藤色の色無地があったのですが、4月になると既にもう遅すぎる気がして、結局今年は着られず。
最近は4月でも日差しが強くて春といっても初夏のような陽気だったりするので、水色や白系の爽やか色の袷が使える気がします。

ダンス公演のお礼状。

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こちらは友達のけやきネッコちゃんの、ダンス公演お礼状です。

ピンクの面の上半分に文面が入ります。

ネッコちゃんと共演するダンサーさんは一人ひとり体型も動きも全く違って特徴的なので、描き分けやすいですね。

観た人にしかわかりませんが、結構似ていると思います^^

ギャラリーの展示DM作成。

ギャラリーのDM、あちらこちら作っておりますが、やはり日本画テイストのものが多いです。
今回は日本橋の粟津画廊さんのDMをご紹介します。

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老舗の画廊さんですが、最近は若手の作家さんを多く取り上げていらっしゃいます。
「美なる奇なり ミニアチュール展」DM。展示は明日から開催です。
フレッシュで面白い作家さんが多いですね。ミニアチュール展なので、小ぶりで飾りやすいものが多いのではないかと思います。
ご興味のある方はどうぞお出かけください。

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こちらは来月の展示ですが、これも若手の魅力ある作家さんを集めた展示です。
これから、の作家さんですので、画廊さんとしても応援する気持ちをこめての展示ということで、あえてかなり明るいイメージのDMにしました。
どんな展示になるか楽しみにしております。

絵処能 アトリエ・アラン・ウエスト

先週末のお出かけ。
着物で行きたかったのだけど、朝から一日雨とのことで断念。
楽しみにしていた谷中のアトリエ アラン・ウエストさんでの能楽イベントです。

でも会場にはきものの方、いっぱいいらっしゃいました。
さすが能を楽しむ方々は違いますねえ。感心!

進行は小鼓方の大倉源次郎さん。男前~^^
きりっと格好いいのですが、お話は駄洒落満載で面白く、レクチャーも上手。
こんな方々が演奏しているなら能楽堂へ足を運びたくなります。

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今回は初心者向けのレクチャーつき。初心者の私も楽しませてもらいました。
楽器の紹介から始まって、観客参加のエア鼓の実践やら、歴史をさかのぼってのよもやま話で大変充実していました。
アトリエの外まで観光客が集まって、人だかりが出来ていました。

面白かったお話の断片。私の記憶違いもあるかもしれませんが、記録まで。
楽器の説明から。

・能管はわざとドレミファの音階から外れるよう作られている。
日本には雅楽と一緒に十二音階が入ってきたが、能楽ではあえてそれを使わず、音をそろえない方向へ進んだ。
一律の音にそろえたほうが合奏がしやすいはずだけども、一度十二音階がもたらされた後に、あえて揃えない方向への転換というのは世界的にも珍しい。
会場で杉新太朗さんの使われていたのは200年くらい前のものだそう。煤竹で、部分的に二重にして音階を外している。
・小鼓は馬の皮を張ってあり、年月がたつほどによくなる。これは会場で組み立て実演。
・大鼓は消耗品で、毎回火を使って乾燥させるため、寿命は短い。大鼓は組み立てに20分近くかかるため、実演は無理。
一番早く会場入りするのは大鼓方だとか。

・今回は笛、小鼓、大鼓の3方での演奏。実際の能はこれに太鼓と謡が加わる。(五人囃子)
・リハーサルは不要。ぶっつけ本番であわせられる。
・本番での間の採り方は、ホウ、とかイヤーとかのお互いの掛け声のやりとりで流動的に決まっていく。
ここで背中合わせの状態で演奏の実演。見えていなくても掛け声で間合いがとれる。
さらに掛け声なしでの実演。途中から笛が参加。
ご本人たちはかなりやりにくそうだけど、これはこれで新鮮。
掛け声なし+笛だと、ぐっとお囃子色が薄くなって、洋楽に近くなる感じ。

・では皆でちょっとやってみましょうということで、観客参加でエアギターならぬエア鼓。
小学校などでもやっているようです。
教育の現場で今一番足りないのは、自分から師に教えを請う気持ちだというお話もあり、なるほど納得。
日本の芸事をやる方達の折り目正しい居住まいというのはこういうところから生まれるんだろうなと思います。

・江戸時代、徳川家が毎年新年の初めには五穀豊穣を願って諸国の大名参列のもと、能を奉納した。
これは新年の国会でやって欲しいという源次郎さんの希望。(いいかも~)
徳川家が能を保護推奨したおかげで諸国に広まった。
津軽藩から薩摩藩まで、方言で言葉の通じないもの同士が、謡の文句なら通じるというので明治維新でも共通言語として文語体の謡が一役買ったというのは源次郎さんの説。

・源次郎さんの鼓の胴に描かれているのはタンポポ。
タンポポは、年中明るい花を咲かせ、人の目を楽しませてくれる。
また、綿毛になってほうぼうに旅立つところから、芸人の象徴とされるとか。
別名を鼓草。
雪輪にタンポポの意匠は、雪が消えてなくなるもの・・芸(時間芸術)をあらわし、タンポポが芸人をあらわす。
・慶乃助さんの大鼓の胴はツルでした。特徴的な鳴き声をイメージしているのかということ。

・雅楽の楽器には、龍や鳳凰など、神話的なものが描かれるが、能楽の楽器に身近な草花などが描かれるのは、日本人にとっての神仏はごくありふれた草木に宿るものという日本的な信仰の表れではないか。

このあたり、大変共感できるお話でした。

3方とも黒の5つ紋付なのですが、鼓の紐の朱の色に、源次郎さんの襦袢の袖が綺麗なブルーでよく映えます。
演奏されると袖の内側がよく見えるので・・。ぴたりと揃った袖口は綺麗ですね。
そして手の平の形が独特で、既に手も楽器になっている気がします。

なかなかこんなに間近で見られる機会はないと思うので、貴重な会でした。
会場はアランさんの絢爛な屏風でいっぱいでした。桜のものを時期に合わせて展示されていたようです。

またこんな機会がありましたら伺いたいと思います。

ちょっと追記(4月10日)
音について書くのを忘れました。
最初が三番叟の「揉み出し」活気のある曲で、舞い手の足踏みが聞こえそうです。
小鼓の音がこのくらいのスペースには丁度良いかもしれません。
とても繊細で一定ではない、ゆらぎのある音でした。狐が踊りだしそうです。
演奏されている時も鼓をささえる左の手が常に動いて音を調整しています。

大鼓ははりんと裂けそうな厳しい音なのですが、だんだんに慣れてきました。
そういえば以前現代筝のコンサートか何かで大倉正之助さんの鼓を聴いた記憶があります。
大きなホールでびっくりするほど鮮烈に響く音でした。もともとは野外で演奏していたものだから当然なのですが。
今回の慶乃助さんは正之助さんのご子息なのですね~。

最後に演奏されたのは「安宅」の瀧のくだり。
弁慶が富樫から注がれた酒を滝の急流に放つ。
3つの音が追いかけるように水の流れを表現して酒が姿を変えていき、運命の流れに翻弄される頼朝、義経兄弟を表すということでした。